〜心夜景〜恋愛小説の園 

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ミミとサブロウ 序

貴方が生まれる、何年も前の話。
 世界は黒と白で出来ていました。
白の名前はミミで、黒の名前はサブロウです。
ミミとサブロウは仲が良いので、一緒に燕麦を育てていました。
夏になっても溶けない雪のせいで、
あまり良いものは育たないのですが、
それでも二人は幸せでした。
 世界は白と黒。燕麦も白と黒。山、川、海、
すべてが白と黒。
 ミミとサブロウには、大好きなおばあちゃんがいます。
おばあちゃんは魔法使いで、
燕麦は雪の中でも魔法のおかげですくすく育っています。

 二人が15才になったとき。おばあちゃんが言いました。
「二人には友達が居ないけど、寂しくないかい」
「寂しくないけど、友達は居た方が良いよね」
 と、二人は口をそろえて言いました。
そこでおばあちゃんは、魔法で青と赤、そして黄色を作りました。
青は燕麦を青に染め、赤は海を真っ赤に染めあげました。
しかし、黄色は作られたときから黙ったままです。

 生まれたばかりの赤と青は不安で一杯だったので、
何もかも赤と青にしようとしました。
空まで赤になってしまったので、
赤と青は、ミミとサブロウが邪魔だと思いました。
何故なら、白は色を曇らせてしまうし、
黒は何もかも塗りつぶしてしまうからです。

 いつの間にか赤と青だけになった世界を、
黄色はどう思っていたんでしょう?
今までのことを黙って見ていたおばあちゃんが、黄色にたずねました。
 「気がついたら真っ赤な空に、真っ青な地面になっちゃったね」
 「うん」
 「あんたは何もしないのかい」
 「うん」
 「どうして」
 「もう黄色に塗るものが残ってないから」
 「そうだね、でも、赤や青だけっていうのは、寂しいよね」
 「うん」
 「目が痛くなっちゃう」
 「うん」
二人はこんなおしゃべりを続けていました。

 ある日ついに、赤と青がミミとサブロウを追い出してしまいました。
世界が赤と青であふれかえって5年が経った時の事です。
 
 二人はとても大きい谷の底に家を造り、ヤギを飼って暮らしました。

ミミとサブロウ | コメント:1 | トラックバック:3 |
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