ミミとサブロウ 序2008-06-26 Thu 00:20
貴方が生まれる、何年も前の話。
世界は黒と白で出来ていました。 白の名前はミミで、黒の名前はサブロウです。 ミミとサブロウは仲が良いので、一緒に燕麦を育てていました。 夏になっても溶けない雪のせいで、 あまり良いものは育たないのですが、 それでも二人は幸せでした。 世界は白と黒。燕麦も白と黒。山、川、海、 すべてが白と黒。 ミミとサブロウには、大好きなおばあちゃんがいます。 おばあちゃんは魔法使いで、 燕麦は雪の中でも魔法のおかげですくすく育っています。 二人が15才になったとき。おばあちゃんが言いました。 「二人には友達が居ないけど、寂しくないかい」 「寂しくないけど、友達は居た方が良いよね」 と、二人は口をそろえて言いました。 そこでおばあちゃんは、魔法で青と赤、そして黄色を作りました。 青は燕麦を青に染め、赤は海を真っ赤に染めあげました。 しかし、黄色は作られたときから黙ったままです。 生まれたばかりの赤と青は不安で一杯だったので、 何もかも赤と青にしようとしました。 空まで赤になってしまったので、 赤と青は、ミミとサブロウが邪魔だと思いました。 何故なら、白は色を曇らせてしまうし、 黒は何もかも塗りつぶしてしまうからです。 いつの間にか赤と青だけになった世界を、 黄色はどう思っていたんでしょう? 今までのことを黙って見ていたおばあちゃんが、黄色にたずねました。 「気がついたら真っ赤な空に、真っ青な地面になっちゃったね」 「うん」 「あんたは何もしないのかい」 「うん」 「どうして」 「もう黄色に塗るものが残ってないから」 「そうだね、でも、赤や青だけっていうのは、寂しいよね」 「うん」 「目が痛くなっちゃう」 「うん」 二人はこんなおしゃべりを続けていました。 ある日ついに、赤と青がミミとサブロウを追い出してしまいました。 世界が赤と青であふれかえって5年が経った時の事です。 二人はとても大きい谷の底に家を造り、ヤギを飼って暮らしました。 |


